タイ・インドネシアの知財制度セミナー開催しました(弁理士・弁護士 加藤 光宏)

タイ・インドネシアの知財制度セミナー開催しました(弁理士・弁護士 加藤 光宏)

  • 2014年 2月 01日

昨日(平成26年1月31日)、ヒルトンホテル名古屋において、弁理士会東海支部開設日記念「知的財産セミナー2014-タイの知財丸わかり~タイにおける特許、商標、権利行使、およびインドネシアの知財制度概要~-」が開催されました。企業の方、弁護士・弁理士など300人以上の方にご参加いただきました。ありがとうございました。

セミナーは、イントロダクション(タイ・インドネシアの知財動向)、特許セッション、商標セッション、権利行使セッションの4部構成です。それぞれ、弁理士会東海支部の東南アジア委員会委員によるプレゼンテーション、およびタイから招いた3名の弁護士とのQ&Aで構成しました。

私は、最後の権利行使セッションで、講師を担当いたしました。持ち時間が45分でしたが、昨年10月のタイ視察を経て、是非、伝えたいと考えていたエッセンスの部分は、お話しできたと思っています。もっとも、お伝えしきれなかった部分も、たくさんありますので、後日(2月下旬ころになる予定です)、数回に分けて、解説記事を、この樹樹つなぎに掲載したいと思っています。よければ、是非、ご覧ください。


将来の財産管理や身上監護について少しでも不安があれば…(弁護士 中村博太郎)

  • 2013年 12月 25日

将来、認知症等を患ってしまい、日常生活のあらゆる場面において自ら判断することができなくなってしまった場合のことを想像してみてください。

このような場合、裁判所に申立を行い、「精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況」にあると認められれば、審判により法定後見人が選任され、法定後見人は本人のために一定の後見事務を行います。しかし、法定後見人は、家庭裁判所が選任するため、場合によっては、本人の意に沿わない方が選任されるかもしれません。選任後、法定後見人との信頼関係を構築することは、困難かもしれません。なお、誰が選任されたかということのみを理由に審判に対して不服を申し立てることはできません。

これに対して、本人がいまだ十分な判断能力を備えている間に、信頼できる方との間で任意後見契約を締結しておけば、後見人が必要となった場合に、その方が任意後見人として後見事務を行います。なお、自分の信頼できる任意後見人ではありますが、任意後見人を監督する任意後見監督人が裁判所によって選任されますので、安心感はさらに増すでしょう。

将来の財産管理や身上監護について不安がある方は、あらかじめ信頼できる方との間で任意後見契約を締結しておくことをお勧めいたします。なお、任意後見契約は、重要な契約と位置付けられているため、契約書は公証人役場において公正証書にて作成する必要があります。法律の知識が必要となるため、専門家の力を借りて作成されるとよいでしょう。


意匠法改正が動き出します(弁理士・弁護士 加藤光宏)

  • 2013年 11月 29日

「経済産業省・特許庁は2013年内をめどに、携帯端末などのソフトの画像デザインに権利保護の範囲を拡大する制度整備の素案を策定する。」との報道がなされた(関連記事)。画面デザインの保護については、先月、セミナーを開いたところだ。(セミナー資料)ようやく動き出したか、という感じである。
 最近までの動向を簡単に説明する。画面の保護についての議論は、最近に始まったことではなく、実は、平成16年ころからずっと議論されてきていた。その上で、平成18年の意匠法改正がなされ、操作画面が一定の範囲で保護されるようになった(資料5ページ)。ところが、お隣の韓国では、それよりも前の2003年(平成15年)から広く画像の意匠を保護しているのである(資料8ページ)。平成18年の改正を経ても、他国と比較すると、日本での画像意匠の保護範囲は、とても狭い状態となってしまっているのが現状である(資料11ページ)。
 そんな中、スマートフォン全盛を迎え、平成19年ころから、画像意匠の保護について議論が再燃した。画像意匠の保護について積極派と消極派の議論は、大きくまとめると、保護の必要性と意匠の本質(物品性)ということになる(資料12ページ)。保護の必要性についての議論は、保護を拡充すべしという積極論と、保護を広げることによる他人からの権利行使を恐れる消極論の衝突である。物品性についての議論は、物品を離れて抽象的な「画像」を保護すべしという考え方と、意匠とは物品のデザインであるという伝統的な概念を尊重する考え方との衝突である。
 こうした議論を経て出てきたのが、「情報機器」という折衷案的な物品を定義し、この画像という形で画像意匠を保護しようとする考え方だ(資料13ページ)。そして、議論は、平成24年11月以降、ここでストップしていた。
 今回、改めて第1回審議会が開催され、その資料が公表された。スタンスとしては、改めて画像意匠の保護について検討をし、法改正の素案をまとめようという姿勢に見える。
 しかし、改正は、「情報機器」という方向性で進むのだろう。冒頭の記事にある「年内をめどに」というスケジュールがたてられていることを考えれば、改めて議論をしている余裕などないと思われる。また、配付資料の内容を見ると、「情報機器」という枠で登録を認める案と並べて、「機能ごとに登録を認める」という案が記載されているが、これはいかにも当て馬だ。この考え方では、「物品」という概念から離れている一方、「機能」という不明瞭な拘束を設けているため、積極派、消極派のいずれからも賛同されないだろうからだ。
 具体的な法改正がどのように進むのかは、しばらく注目する必要があるが、仮に「情報機器」という概念で拡充されたとしても、諸外国(欧州、米国、韓国)と同等の保護とは言えないという点には注意が必要だ。


Google Books合法判決(弁理士・弁護士 加藤光宏)

  • 2013年 11月 16日

Google Booksは合法との米国地裁判決が出されました(関連記事)。Google Booksは、様々な図書をスキャンして電子化し、インターネットで検索・閲覧可能にしたサービスです。これを利用すれば、ユーザが、キーワードを入力すれば、書籍のタイトルに含まれているものだけでなく、本文中に含まれているものまで検索できます。別に、電子化した書籍全体をダウンロード可能にしている訳ではなく、電子化した書籍を販売している訳ではありません。それでも、書籍をスキャンして電子化していることが、複製権の侵害だということで問題になっている訳です。
判決は、Google Booksの行為は、効率的に書籍を検索するための貴重なツールであり、著者や出版社にとっても新たな読者や収入源を生み出している、ということを理由に、フェア・ユース(公正な利用)に当たるとして著作権を侵害していないとしています。
この問題、実は過去に和解がまとまったのですが、地裁がそれを承認しなかったため、判決となりました。和解の過程で、日本の書籍は対象外との方向性が出ていたのですが、今回の判決で、Google Booksの行為は著作権を侵害しないという結論になった訳ですから、日本の書籍のスキャンも同様ということになり、日本への影響も考えられます。(あくまでも米国で日本の書籍をスキャンの対象にする場合のことです。日本の著作権法にはフェア・ユースという規程はないので、日本で、同様のことを行えば、侵害という結論になる可能性もあります。)
米国での訴訟は、上訴されるようです。しばらく動向に注目したいと思います。


【南知多の無料法律相談】 くらしの灯台法律相談

  • 2013年 10月 21日

南知多地域の皆さまのための無料法律相談会を実施します。
個室・時間枠制ですので,プライバシーも守られます。

30分相談無料。ご予約制・先着順です。駐車場もあります。
ご予約は 052-953-6001 まで(ご予約の受付時間は,平日 10:00~17:00 です)

日時  10月28日(月)・11月11日(月)いずれも 10:00~18:00
場所  愛知県知多郡美浜町奥田三ヶ市69-1 共栄ビル1F (地図はこちら

 


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  • 2013年 5月 01日

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意匠法の動向に注目!(弁理士・弁護士 加藤光宏)

  • 2013年 3月 28日

 今年は、意匠法の動向から目が離せない。
 特許庁では、スマートフォンなどの画像について意匠登録を認める方向の検討を進めている。(関連資料
 ここで言う画像とは、例えば、汎用機のOSの画像、アプリケーション・ソフトウェアの画像、ゲームソフトの画像、アイコン自体、ウェブページ画像、壁紙画像などのことである。
 米国、欧州、韓国では既にこれらに対して意匠権での保護が認められている。これに対して日本では、非常に限定的だった。やや粗っぽい表現になるが、機器に最初から組み込まれている初期画面については登録を認めるが、アプリケーションのように後からインストールする画面については登録を認めないというものである。これは、日本の意匠制度が「物品」のデザインという要件を重視してきたことによるものであるが、いかにも世界標準からすれば立ち後れた感は否めない。ここに来て、ようやく特許庁も、これではいけないと本腰を入れることになったのだ。
 その方向性は、従来型の「物品」のデザインというカテゴリーに加え、情報機器の画像という新たなカテゴリーを設けるというもののようである。現状では、各業界団体から賛否両論の意見が出されており、収束までにはまだ時間を要するように見受けられる。
 反対意見の一つには、情報機器の定義が不明確ではないか、将来的に情報機器が拡大し、広範に過ぎる権利が付与され得るのではないかといったものがある。意匠の類否判断や権利範囲をどうするかという観点からは、当然の意見である。
 しかし、そもそも「情報機器」という枠組みに違和感を覚える。意匠の類否判断や権利範囲の議論と、保護対象の議論とは分けて考えた方がよいのではなかろうか。今やありとあらゆる機器が「画面」を持ち、ネットワークに接続される時代である。お掃除ロボットだって、そのうちにご主人様の後をついてくるペットアプリや、シューティングゲームのターゲットアプリ、ゴキブリ駆除アプリなどをインストールできるようになり、その画面について保護の必要性が出てくるかも知れない。現時点で世の中に存在する「情報機器」という物だけを前提に制度を考えていては、産業の変化のスピードにはついていけない。是非、先を見据えた議論を期待したい。


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