Google Books合法判決(弁理士・弁護士 加藤光宏)

Google Books合法判決(弁理士・弁護士 加藤光宏)

  • 2013年 11月 16日

Google Booksは合法との米国地裁判決が出されました(関連記事)。Google Booksは、様々な図書をスキャンして電子化し、インターネットで検索・閲覧可能にしたサービスです。これを利用すれば、ユーザが、キーワードを入力すれば、書籍のタイトルに含まれているものだけでなく、本文中に含まれているものまで検索できます。別に、電子化した書籍全体をダウンロード可能にしている訳ではなく、電子化した書籍を販売している訳ではありません。それでも、書籍をスキャンして電子化していることが、複製権の侵害だということで問題になっている訳です。
判決は、Google Booksの行為は、効率的に書籍を検索するための貴重なツールであり、著者や出版社にとっても新たな読者や収入源を生み出している、ということを理由に、フェア・ユース(公正な利用)に当たるとして著作権を侵害していないとしています。
この問題、実は過去に和解がまとまったのですが、地裁がそれを承認しなかったため、判決となりました。和解の過程で、日本の書籍は対象外との方向性が出ていたのですが、今回の判決で、Google Booksの行為は著作権を侵害しないという結論になった訳ですから、日本の書籍のスキャンも同様ということになり、日本への影響も考えられます。(あくまでも米国で日本の書籍をスキャンの対象にする場合のことです。日本の著作権法にはフェア・ユースという規程はないので、日本で、同様のことを行えば、侵害という結論になる可能性もあります。)
米国での訴訟は、上訴されるようです。しばらく動向に注目したいと思います。


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