親族間のトラブル(相続・離婚)

2018年11月

親族間のトラブル(相続・離婚)

  • 2018年 11月 01日

相続税がかかる目安は?

相続税は「3,000万円+600万円×法定相続人の数(妻、子など)」以上の額の相続財産がある場合に、納付する必要があります。

(例)妻と子2人が相続人の場合
4,800万円(=3,000万円+600万円×3)

例の場合、4,800万円以上の財産をお持ちであれば、お亡くなりになった際、相続人の皆様に相続税がかかる可能性があります。そのため、自宅が持ち家の場合や多額の預貯金がある場合などには、相続税がかかる可能性は高いです。

遺言書を作成することは必要?

遺言書は、亡くなられた後にご家族へ意思を伝えることができる数少ない手段の1つです。現に、遺言書があったことで、相続に関するトラブルを未然に防止することができたという事例もよく見られます。そのため、財産の多少に関わらず、遺言書の作成を検討されることをお勧めします。

また、遺言書作成の準備として、現在の財産状況を把握することとなり、その過程で、相続税対策をする必要があるか否かを検討することができます。

なお、遺言書の方式は法律で決まっており、その方式に従っていないものは有効なものとして扱われませんので、ご注意ください。

離婚にはどのような方法がある?

離婚する方法は、(1)協議離婚(夫婦での話し合いによるもの)、(2)調停離婚(家庭裁判所の調停手続(話し合い)によるもの)、(3)裁判離婚(家庭裁判所の裁判手続によるもの)の3つがあります。

離婚のために裁判を起こす前に、調停手続を経る必要があることから、我が国の離婚制度は、話し合いによる円満な解決を図ることを重視しています。

婚姻費用って何?

「婚姻費用」とは、夫婦及びその子供が家庭生活を送るのに必要な費用(いわゆる生活費)のことをいいます。「婚姻費用」は、法律で定められた夫婦間の扶助義務や親子間の扶養義務を具体化したものなので、仮に夫婦関係が悪化し、別居状態になったとしても、離婚をするまで負担の問題が発生し、収入の少ない方(収入がない方も含みます)から収入の多い方に対し、婚姻費用を分担するよう請求することができます。

なお、婚姻費用の金額は、全国の裁判所が運用する大まかな算定方法の基準があり、その基準に則ったうえで個別具体的な事情を踏まえて決定されます。


業務中・通勤中の交通事故について

  • 2018年 11月 01日

業務中の交通事故の場合、会社も責任を負う?

労働者が業務中に交通事故を起こした場合、原則として使用者である会社も責任を負います(民法715条)。また、人身事故の場合、自動車賠償保障法の運行供用者責任を負います(自動車賠償保障法3条)。

いずれも、一定の要件を満たせば会社が責任を免れることはできますが、その要件は次のように厳格であり、会社が責任を免れることは非常に困難です。

使用者責任
会社は、次のいずれかを証明しない限り、賠償責任を負います。
(1)被用者の選任および事業の監督につき相当の注意を払ったこと
(2)相当の注意をしても損害が発生していたであろうこと

運行供用者責任
会社は、次のすべてを証明しない限り、賠償責任を負います。
(1)運行供用者および運転者が自動車の運行に関し注意を怠らなかったこと
(2)被害者または運転者以外の第三者に故意または過失があったこと
(3)自動車に構造上の欠陥または機能の障害がなかったこと

通勤中の場合はどうなるの?

労働者が通勤中に交通事故を起こした場合、使用者である会社は、マイカーでの通勤か社用車での通勤か、会社が日常的に車通勤を承認・黙認していたか、会社による駐車場所・ガソリン代・維持費等の供与があるかなどの事情が総合的に考慮されて、使用者責任または運行供用者責任を負う場合があります。

労災保険の適用はあるの?

労働者が業務中や通勤中に交通事故に遭った場合、労災保険を使用することができます。また、自賠責保険は、加入が義務付けられている保険であり、自賠責保険を使用することもできます。ただし、同じ損害項目について、双方から二重に支払いを受けることはできません。

一般的に、過失が大きい場合や過失割合に争いがある場合、労災保険では、過失の程度によって減額されないから、労災保険を使用したほうが有利になることがあります。また、それぞれ限度額が定まっている中、労災保険には慰謝料がないことから、治療が長引くような場合、労災保険を優先させたほうが有利となる場合があります。