CONVERSEの意匠権侵害?(弁理士・弁護士 加藤 光宏)

2014年10月

CONVERSEの意匠権侵害?(弁理士・弁護士 加藤 光宏)

  • 2014年 10月 17日

米国のコンバース社が日米6カ国の会社を意匠権侵害でニューヨーク地裁に訴えたというニュースが流れた(例えば、こちら)。
コンバースと言えば、あの有名なハイカットバスケットシューズの会社であり(筆者が若いころは「バッシュー」とか「ハイバッシュー」と言っていた)、訴えられた会社は、似たデザインの靴を製造、販売しているということだ。
しかし、ちょっと待て。意匠権?
意匠権というのは、どの国でも、権利の存続期間は限られている。米国の場合、登録から14年間だ。
どう考えても、コンバースのハイバッシューは、それよりも古いぞ。果たして意匠権が存在しているのか?
そこで、米国の記事に当たってみた。ここには、「商標権侵害(trademark-infringing)」と書いてある。なるほど、商標権ならば、更新することで現在も権利が生きていることは十分考えられる。
次に、米国特許商標庁のHPにアクセスして、コンバース社の商標権を調べてみる。すると、確かにあった。見慣れたハイバッシュ-の形状そのもので商標登録がなされている(登録番号4065482)(日本で言うところの立体商標というやつである)。出願日は2010年5月11日、登録日は2011年12月6日と比較的新しい。コンバース社は、全部で276の登録商標を有しているから、他にもハイバッシュ-に似たものが登録されているのだろう。(さすがに全部は見ていられなかった)
知的財産に関するニュースでは、制度を誤解して内容が不正確になっている場合があるので、注意が必要かも知れない。