大阪府のキャラクター「モッピー」が改名するそうだ。すでにユー・エス・ジェイ(USJ)が商標登録しているとのこと(関連記事)。
ちなみに、USJが登録しているのは、MOPPY/モッピー(商標登録5440951)である。この記事を見るまで、全く知らなかったのだが、USJが、エルモのお友達としてPRしているキャラクターの名前だ(USJのHPはこちら)。
大阪府のモッピーは、平成9年に実施したなみはや国体のマスコット。USJのMOPPYは、平成23年2月22日に出願されているから、大阪府がなみはや国体の頃に、さっさと商標登録出願を済ませておけば、今回のような問題にはならなかったはず。大阪府にとっては、登録せずに放置しているとこういう困った事態が起きるという、いい教訓になったことだろう。
さて、USJのMOPPYのホームページを見て、「やるなぁ!」と感心したので、少し触れておきたい。
(ここから先のことは、USJの関係者に取材した訳ではないので、私の推測が含まれること、ご了承いただきたい。)
USJのテーマパーク内は、各種キャラクターの塊で、それぞれ米国のユニバーサルグループはじめ各企業からライセンスを受けてビジネスを行っている。つまり、USJ自体、キャラクターについてのライセンス契約の塊でなりたっているテーマパークだ。
ライセンス契約の内容は、単にキャラクターを使用したアトラクションについてだけではなく、当然にキャラクターグッズも対象となっている。新しいキャラク ターグッズを製造・販売しようとすれば、当然、ライセンサーに企画説明をし、その了承を得て、ライセンス料を支払った上でないと製造・販売できない。
USJには、「すぱいだぁ麺」というカップ麺がある。「麺」は明らかに日本語だから、「すぱいだぁ麺」はUSJが独自に考え出した、関西らしいキャラク ターグッズだと思うのだが、この商標登録(商標登録5181407)がおもしろいことになっている。出願の時は、USJの名前で出願され、USJを権利者 として登録されているのだが、登録後半年ほどして、マーベル・キャラクターズ・インコーポレーテッド(スパイダーマンのライセンサーと思われる)に移転さ れているのだ。このことから、USJが独自に考えたグッズの「名称」についてまで、ライセンサーに権利譲渡することが契約内容になっているのだろうと伺わ れる。
キャラクターグッズの売り上げ、そして、そのために支払われるライセンス料は膨大な金額になるので、USJとしては、できるだけオ リジナルのキャラクターグッズで勝負したいはずだ。しかし、既存のキャラクターをもとにした「独自商品」では、結局、ライセンサーにすべて権利を持って行 かれてしまう。一方、既存のキャラクターと無関係に独自のキャラクターを起用しても、売れるとは限らない。
そこで、MOPPYという独自のキャラクターを、エルモのお友達という設定にすることで、その人気にあやかって売りだそうという戦略をとったのだろう。
こういう方法は、東京ディズニーランドのダッフィーなどでもとられているから、特に新しい手法という訳ではない。ただ、いつまでもライセンスという路線だ けに甘んじるのではなく、独自キャラクターを売り出す戦略にも取り組みつつあるところに、「やるなぁ!ユー・エス・ジェイ」と感じた次第である。(だから といって、私には、MOPPYは買えませんけどね。)