将来の財産管理や身上監護について少しでも不安があれば…(弁護士 中村博太郎)

2013年12月

将来の財産管理や身上監護について少しでも不安があれば…(弁護士 中村博太郎)

  • 2013年 12月 25日

将来、認知症等を患ってしまい、日常生活のあらゆる場面において自ら判断することができなくなってしまった場合のことを想像してみてください。

このような場合、裁判所に申立を行い、「精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況」にあると認められれば、審判により法定後見人が選任され、法定後見人は本人のために一定の後見事務を行います。しかし、法定後見人は、家庭裁判所が選任するため、場合によっては、本人の意に沿わない方が選任されるかもしれません。選任後、法定後見人との信頼関係を構築することは、困難かもしれません。なお、誰が選任されたかということのみを理由に審判に対して不服を申し立てることはできません。

これに対して、本人がいまだ十分な判断能力を備えている間に、信頼できる方との間で任意後見契約を締結しておけば、後見人が必要となった場合に、その方が任意後見人として後見事務を行います。なお、自分の信頼できる任意後見人ではありますが、任意後見人を監督する任意後見監督人が裁判所によって選任されますので、安心感はさらに増すでしょう。

将来の財産管理や身上監護について不安がある方は、あらかじめ信頼できる方との間で任意後見契約を締結しておくことをお勧めいたします。なお、任意後見契約は、重要な契約と位置付けられているため、契約書は公証人役場において公正証書にて作成する必要があります。法律の知識が必要となるため、専門家の力を借りて作成されるとよいでしょう。