事業承継の準備してますか?

事業承継の準備してますか?

  • 2018年 10月 29日

「事業承継」って何?

事業承継とは、現経営者から後継者へと事業のバトンタッチを行うことです。
不動産や機械設備など個別財産を譲渡するだけでなく、従業員や取引先との関係、技術やノウハウなどの経営資源も含めた一体としての「事業」を次の世代へと引き継ぎます。

「事業承継」ってそんなに重要なの?

現在、日本の中小事業者では、経営者の高齢化が進んでいます。元気な経営者が現役で頑張っているという理由もありますが、一方で後継者がいない等の理由により世代交代が進んでいないという側面もあります。

事業承継は、円滑な世代交代を実現することで、従業員の雇用や取引先との関係を維持し、これまで培ってきた技術やノウハウを次世代に残すためにも、経営者が取り組まなければならない重要な問題です。

「事業承継」に準備が必要なの?

いざ後継者に事業を引き継ごうと思っても、あらかじめ準備をしておかないと円滑な事業承継を実現することは困難です。次のように、考えておかないといけないことが、実はたくさんあるんです。
 ・後継者は決まっていますか?
 ・後継者は、後継者として必要な能力を身につけていますか?
 ・承継する資産や契約を把握していますか?
 ・資産や契約の承継にどのような手続が必要ですか?
 ・承継によって税金は発生しませんか?

どんなことから準備を始めれば良いの?

事業承継は、従業員や取引先など事業に関わる人たちにも影響を与える可能性があります。経営者だけの問題ではないことを理解し、準備の重要さを認識することがスタートです。

その上で、事業の現状把握として、
 (1) 会社の強み・弱みを知り、事業を維持・成長させていくために取り組むべき課題を見つける
 (2) 事業に使っている経営者の個人資産がある場合、貸借関係を整理し、承継する資産を選別する
 (3) 個人資産との混同をなくし、財務状況や資金繰り状況の透明性を高める
などの準備から始めましょう。

どのくらいの準備期間が必要なの?

後継者の選定・育成から始める場合には、概ね5年から10年くらいの準備期間が必要といわれています。いずれにしろ、早めに準備を始めることが大切です。


職務発明の発明報償について

  • 2018年 10月 26日

発明報償って、何が根拠なの?

特許法35条4項には、従業者等が職務発明を完成させ、契約や勤務規則等により、使用者等に特許を受ける権利を取得させるなどした場合、従業者等は「相当の利益」を受ける権利を有すると規定されています。

「相当の利益」ってどうやって計算するの?

(1) 自社で実施している場合
使用者等は無償の通常実施権を有していることから、独占的に実施できる地位を取得することによって得られる利益(独占の利益または超過利益と呼ばれます)が基準となります。具体的には、「相当の利益=売上額×超過売上の割合×仮想実施料率×従業員の貢献度×共同発明者間における当人の貢献度」により計算されます(裁判例 平成20年(ネ)第10082号など)。

(2) 他社に実施許諾している場合
実際に受け取っている実施料が基準となり、具体的には、「相当の利益=実施料×従業員の貢献度×共同発明者間における当人の貢献度」により計算されます(裁判例 平成18年(ワ)第24193号など)。

自社実施の場合、各係数は具体的にどれくらいなの?

過去の裁判例では、超過売上の割合は10~50%、仮想実施料率は2~20%、従業員の貢献度は2~60%などとなっており、大半はそれぞれが数%であることが多く、よほどの大発明でない限りさほど大きな金額にはなりません。
たとえば1億円を売り上げる商品であっても、「相当の利益」の金額は各係数を掛け合わせると数万円程度になることは多々あります。

予め職務発明に対する報償の金額や算定方法を定めておくことはできる?

予め「職務発明規程」等によって、報償の金額や算定方法を定めておくことはできます。
ただし、当該規定の金額や算定方法によって算定される金額を支払うことが不合理な場合には、改めて、個々に「相当の利益」を算定しなければなりません。不合理か否かは、使用者等と従業者等との間の協議の状況など、当該規定を定める過程が重要になりますので注意しましょう。


商標・著作権について

  • 2018年 10月 25日

商標って何?

商標は、会社や製品、サービスに用いる名称、ロゴ、図形などを言います。
当事務所は、ホームページ等でロゴマークを使用していますが、これも商標として登録されています。また、「樹樹」という名称も商標として登録されています。

中小企業なら商標は登録しなくても良いのでは?

商標登録は、第三者の使用を排除するためだけに行うものではありません。自社の社名、製品名等について商標登録することなく使用していると、ある日、同一または類似の商標を登録した第三者から、商標の使用の差止め(商標を使うな!ということ)を請求されるかも知れません。そうなっては、せっかく信用を培ってきた愛着ある社名、製品名等を変更しなくてはならなくなります。

比較的最近でも、西三河のご当地ラーメンとして知られる「キリンラーメン」がキリン株式会社の有する商標権との関係で名称を変更することになった事案がありました。

ロゴなら商標登録しなくても著作権でも保護されるのでは?

著作権の保護対象は「著作物」ですが、創作されたものであれば全て著作物に該当するとは限りません。ロゴの場合、著作物として保護を受けられるもの、そうでないものがあり得ます。

商標権は、登録されることにより権利が存在することが明確になりますが、著作権の場合、本当に保護が受けられるかどうかは、訴訟をしてみないと分からないという不安定さがあります。「著作権で保護されるから大丈夫」と安易に考えるのは危険だと思います。

商標登録の費用は?

商標登録は、どのような商品、役務(サービス)に使用するかを指定して行います。商品、役務は、いくつかの区分に分類されており、費用は、この区分数に応じて増えます。1区分の場合では、特許庁に支払う印紙代が出願時に12,000円、登録時に28,200円となっています。


イケメンゴリラ(弁理士・弁護士 加藤光宏)

  • 2016年 5月 26日

 名古屋市東山動物園のイケメンゴリラの名前「シャバーニ」を名古屋市が商標登録出願したようだ。

 指定商品が「ゴリラ」になっていたら面白いと思い、早速、調べてみたところ、さすがにそのようなことにはなっていなかった。DVD、キーホルダー、文具類、カバン類など、シャバーニが使用されそうな商品名がずらりと並んでいる。もし、指定商品が「ゴリラ」とされていたら、「ゴリラ」を商品として販売する際に「シャバーニ」という名称を使うことについて登録したことになるのだ。商標のことをよく知らない方が手続きをすると、侵しがちな誤りかも知れない。この点、シャバーニの出願は、正解。

 「シャバーニ」(商願2016-30028)と「SHABANI」(商願2016-30027)の2件が出願されており、いずれも標準文字となっている。デザイン性のあるロゴ等ではない。登録された暁には、シャバーニの名前を商品に使用すれば商標権の侵害になるということだ。

 どこにもゴリラは関係ないじゃないの?と思われる方もいるかも知れない。その通りである。だから、シャバーニの写真やイラストを載せなくても、商品に「シャバーニ」という名前をつけて売るだけで侵害になるのだ。お気をつけ下さい。

 なお、「イケメンゴリラ」は未だ登録も出願もされていないようだ。従って、商品に「イケメンゴリラ」とだけ書いて、「シャバーニ」や「SHABANI」と書かなければ、今のところ、商標権侵害となるおそれはないことになる。
 また、「名古屋市」による商標登録および出願を調べた限りでは、シャバーニの写真やイラストについての出願もされてはいない。従って、やはり「シャバーニ」や「SHABANI」と書かなければ、自前の写真やイラスト(他人のまねはダメですよ。著作権の問題が生じるから。)を商品に付しても、今のところ、商標権侵害となるおそれはないことになる。

 記事によれば、今回の出願の意図は、シャバーニの「活躍を悪意を持った第三者に邪魔されないようにするため」とのことなので、第三者がいわゆる便乗商品などを販売することに目を光らせる意図ではないのだろう。それはそれで一つの方針だと思う。

 実際、第三者による模倣や便乗を防止するのは、なかなか難しい。あからさまな便乗商品が出回って、シャバーニが「イケてねぇ」とイケメンを曇らせませぬよう。


高級「生」食パン(弁理士・弁護士 加藤 光宏)

  • 2016年 5月 08日

 乃が美の高級「生」食パンというものを、初めて購入し、味わってみました。

 名古屋に出店していたことは知っていたのですが、場所を全く知らなかった私。全く偶然に店の前を通りかかり、これまた偶然に予約無しでも購入できる、とのこと。この縁を逃す訳には、いきません。
 焼かずに「生」で食べてもおいしいのですが、やっぱ、トーストの方が好みかなぁ。

 さて、商標のお話です。

 この高級「生」食パン。これで商標登録されているとのこと。早速、調べてみました。

 確かに、『高級「生」食パン』(商標登録第5760247号)で登録されていました。標準文字で登録されています。食パンに使う商標としては、「高級」も「食パン」も識別力がないでしょうから、食パンなのに「生」という点だけで識別力が認められたのでしょう。

 同じく、『「生」食パン』(商標登録第5760247号)が出願されていますが、こちらは、現在、審査中のようです。「高級」のあり無しで、識別力が大きく変わるとも思えませんので、時期に登録されるのではないでしょうか。

 ついでに、「生」+物の名前で、どれくらい商標登録されているのか、調べてみました。1000件を超える登録があります。
 ただ、ほとんどが、『ヤマザキ 生ケーキ』(商標登録第4495250号)のように、会社名を頭に付けるなどしていたり、『生茶』(商標登録第5000388号)のように商品のラベル全体の外観で登録していたりして、なかなか標準文字だけでの登録というのはありません。
 『生ちち』(商標登録第4511805号)なんていう、指定商品によっては、そのままじゃないか、と思われる標準文字の商標もありましたが、「コーヒー及びココア等」が指定商品となっていました。
 『★蔵出し生ビール』(商標登録第3267038号)は、一応、ロゴで登録されてはいますが、特にデザイン性に富んだロゴになっている訳ではありません。「生ビール」自体が一般名称ですから、ちょっと「生」食パンとはケースが違いますね。

 あれこれ調べた結果、『生リップ』(商標登録第5099190号)というのを見つけました。指定商品は「せっけん類、化粧品」です。どんなリップクリームだろう?と、「生リップ」でググってみたところ、まぁ、恐ろしい結果に。。。誰も見ていなくてよかった。

 食パンについては、『極上の「レア」食パン』(商願2015-120758)というのも出願されていました。現在、審査中で拒絶理由が通知されているようです。

 拒絶理由の内容は調べていませんが、「極上」と「高級」、「生」と「レア」は、意味が似ていますから、『高級「生」食パン』(商標登録第5760247号)と類似の商標だと言われているのではないでしょうか。

 さて、この出願、どうなるでしょうか?焦げ付きませんように。


マイナンバー違憲訴訟

  • 2016年 1月 28日

 マイナンバーの運用が始まってほぼ一月が経過しようとしています。制度内容がよくわからないまま、番号が通知され、戸惑っている方も多いのではないでしょうか。
 昨年12月には、東京・大阪など全国5カ所でマイナンバー違憲訴訟が提起されました。名古屋は、準備が遅れていましたが、弁護団を結成し、本年3月24日に向けて原告を募集を開始しました。本日付の中日新聞に、「「マイナンバー違憲」提訴へ 愛知の住民、3月24日にも」の記事が掲載されていますので、ご参照下さい。原告の応募は弊所で受け付けています。原告募集チラシにご記入いただき、FAXまたは郵送でお送り下さい。


「秘密の金庫番」の使い方(弁理士・弁護士 加藤 光宏)

  • 2015年 7月 23日

 特許庁が平成28年度から「秘密の金庫番」を始めるそうだ。「営業秘密の開発時期と内容を暗号化したデータを専用サーバーで保管」という無料のサービスらしい。一言で言えば、公的証明書がもらえるタイムスタンプ付きのデジタルアーカイブという感じであろう。ここに営業秘密を管理しておけば、少なくとも、その営業秘密を保持していた事実の立証には役立つと思われる。
 ただし、秘密の金庫番に保管しておけば万全という訳ではない。やはり、その使い方が問題だ。
 開発した技術内容を、特許出願をせずに護ろうとする場合、不正競争防止法上の営業秘密として保護する方法、特許法上の先使用権によって保護する方法が考えられる。
 ここで、不正競争法上の営業秘密として保護するためには、その技術内容を秘密として管理しておくこと(秘密管理性)が要求される。「秘密の金庫番」への保管は、その時点で「秘密を保有していたこと」の証明にはなるし、「秘密として護ろうとしていた」ことの一応の裏付けにはなるだろうが、それだけで「秘密として管理していたこと」を立証できるものではない。社内で、誰でも見られる状態で資料がオープンにされているようでは、「秘密の金庫番」に保管したところで、営業秘密としての保護を受けることはできないであろう。
 また、先使用権で保護を図る場合には、技術内容(発明)が完成していたことだけではなく、事業の実施またはその準備がなされていたことが要件となる。この立証がなかなか難しい。実際に事業を行っているときでも、開発された技術内容と、実施している事業とを結びつける証拠は十分にそろっていないことがあるのだ。やはり先使用権で保護しようと考えるのであれば、その時点で、第三者の客観的な視点で先使用権を主張できるだけの証拠をそろえ、それら一式を「秘密の金庫番」に預ける運用が好ましいと思われる。
 「秘密の金庫番」は、有用なツールであることは間違いないが、どれほど良いツールでも、それを活かすか否かは使い方次第ということであろう。


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